AI・LLMO実践コラム / トレンド編
2026年5月のGoogle I/Oで示された「生成UI(Generative UI)」は、検索結果が“あらかじめ用意されたページ”から“その場で生まれる画面”へと変わることを意味します。今回は、この大きな変化を、ビジネスの視点から読み解きます。
検索結果が「ページ」ではなくなる
Google I/O 2026では、検索の大きな刷新が発表されました。その中心にあるのが生成UIです。
これは、ユーザーの問いに応じて、その場でレイアウトや視覚的な部品(インタラクティブな図、表、グラフ、シミュレーションなど)を組み立てるという考え方です。Googleの説明によれば、Gemini 3.5 Flash と Google Antigravity という技術を使い、質問にぴったり合った“カスタムの画面”をその場で生成します。この機能は、2026年の夏にすべての利用者へ無料で提供されると案内されています。
これまで私たちは、あらかじめ作られたWebページを“見に行く”ことを前提にしてきました。生成UIの世界では、画面は対話の中で都度生まれます。固定されたページを用意して待つ、という前提そのものが、ゆっくりと崩れていきます。
ちなみに、Googleの発表によれば、検索のAI要約機能(AI Overviews)はすでに月間25億人規模、対話型のAI Mode も10億人規模に達しているとされます。これは特殊な人だけの話ではなく、ごく一般的な検索行動が、すでにこの方向へ動いていることを示しています。
「作る」の意味が変わる
これはWeb制作にとって、無視できない変化です。
極端な見方をすれば、口頭の指示だけでサイトのような画面が生成できるなら、「作ること」そのものの希少性は下がっていきます。きれいなページを納品する——その価値が、相対的に薄まっていく方向にあるのは確かでしょう。
では、どこに価値が残るのでしょうか。
それは「AIが画面を組み立てるとき、その材料として“引かれる側”になれるか」です。表示される器(UI)はAIが作る。だとすれば、勝負は器の中身——正確で構造化された情報と、信頼されるブランドの存在——に移っていきます。
これからのWebサイトは「公開データベース」でもある
ここで視点を一段あげてみましょう。
これからのWebサイトは、人が眺める“完成品”であると同時に、AIが情報を取りに来る“公開データベース”でもあります。後者の役割で選ばれるかどうかが、生成UI時代の可視性を大きく左右します。
見た目の美しさだけでなく、「機械が正確に読み取れる中身になっているか」。この問いが、これまで以上に重みを持つようになります。
いま備えるべきこと
生成UIが本格的に広がるのは、これからです。だからこそ、いまは“人が来なくても先に仕込んでおける”ことに着手する好機でもあります。
- 重要な情報を、画像やPDFではなく、機械が読めるテキストで持っておく
- 自社にしかない一次データ・実例を整理し、公開できる形にしておく
- ブランド名でAIに質問し、正しく説明されるか・誤りや空白がないかを点検する
- 「きれいなページ作り」だけでなく「引かれる中身作り」に時間を配分し直す
これらは、表示の形がどう進化しても効き続ける備えです。器の進化を追いかけるのではなく、器に選ばれる中身を育てる。それが、変化の速いこの領域で陳腐化しない、数少ない戦い方だと考えています。
よくある疑問
Q. 生成UIが広がると、自社サイトは見られなくなるのでは?
「人が直接ページを見る量」は減る可能性があります。ただし、AIが回答や画面を組み立てる材料として、信頼できる情報源は引き続き必要です。見られ方が「直接閲覧」から「AIに引用される」へ移る、と捉えるのが実態に近いでしょう。
Q. いますぐ何か新しいツールを導入すべき?
ツールを急いで入れる必要はありません。まずは「自社の情報が機械に正しく読めるか」「一次データを持っているか」という土台の点検から始めるのが堅実です。
Q. これは日本のビジネスにも関係ありますか?
関係します。AI検索の機能は順次グローバルに展開されており、日本語環境でも同じ流れが進んでいます。「自社が将来関係ない」と言い切れる業種は、ほとんどありません。
まとめ
生成UIは、検索の“器”がAIによってその場で作られる時代の到来を告げています。器を作る競争ではなく、器に選ばれる中身——構造化された情報と、信頼されるブランド——を育てること。それが、これからの情報発信の軸になります。
次回のコラムでは、その「中身を機械に届ける」ための新しい標準、llms.txt・NLWeb・WebMCPを、何から手を付けるべきか3つの層に整理して解説します。
参考にした情報源
- Google 公式ブログ「Google I/O 2026」関連発表(blog.google、2026年5月)
- Google Search 公式ブログ I/O 2026 アップデート解説(2026年5月)
- Google I/O 2026 各種報道(2026年5月)
※ 本記事の事実関係は2026年6月時点の公開情報に基づいています。発表された機能の提供時期・範囲は変更される場合があります。
